今回は、「四人の妻を持つ男」という仏教説話をご紹介します。
四人の妻を持つ男と聞いて、
仏教説話の登場人物や背景には、比喩的な意味があります。
では、この四人の妻を持つ男とは、そして四人の妻とは、一体何を意味しているのでしょうか?!
まずは、ご笑覧ください!
四人の妻を持つ男
あるところに、四人の妻を持つ男がいました。
男は第一夫人を、とっても寵愛していました。
男は第一夫人には毎日お化粧をさせて、いかなる時にも彼女をいたわり、なんでも欲しいものを買ってやり、行きたいところに連れていき、食べたいものを食べさせました。
また第二夫人は、とても美人で評判が高く、夫人が浮気しないように常に気にかけ、外出時は常に連れ出し、帰ってからは部屋に鍵をかけて勝手に外に出ていかないように常に見張っていました。
第三夫人とは常に会うことはありませんでしたが、気心の知れた良い夫婦関係を築いていました。
そして、第四夫人との関係は夫婦ではありながら、まるで使用人のような扱いでした。
しかも、第四夫人は毎日けなげに男のお世話をしているにも関わらす、毎日のように罵倒され、ぞんざいな扱いをされていました。
妻としてめとったものの、男は第四夫人のことなど眼中にはなかったのです。
遠い国に行くことなった男の運命は?!
時がたち、男はやんごとない理由で、はるか遠くの国へ行かなければならなくなりました…。
そこでさっそく、男は第一夫人に尋ねました。
「お前はもちろん、私と一緒にその国に行ってくれるよね」と。
第一夫人は答えました。
でも、私はそんなに遠くの国に行くのは嫌です。お断りします。
と、けんもほろろに断られました。
男はしかたなく、第二夫人に一緒についてくるように頼みました。
第二夫人は答えました。
と、こちらもあっさりと断わられたのでした…。
男は意気消沈しながらも、第三夫人のもとへ出かけて行き、そして同じように尋ねました。
第三夫人は答えました。
と、やはり自分の行く遠い国までは、ついて来てくれないようでした。
男は途方に暮れながら、第四夫人にも同じように尋ねてみました。
すると、第四夫人は答えました。
有り難く、どこまでもお供いたします!
その言葉を聞いて、男は深い後悔の念にかられました…。
自分はこれまで、第四夫人のことを大事にしてやることはなかったのに、第四夫人はこんなにも私のことを思ってくれていたなんて…。
と、男は心の底から悔やんだというお話です。
この仏教説話はここまでで終わるのですが、次項でこの物語の種明かしをしようと思います。
四人の妻を持つ男や四人の妻の正体とは?!
仏教説話では、登場人物や背景を比喩的に表現することがあります。
なので、このお話にできてくる登場人物も場所も、それなりの意味を持っています。
ではまず、このお話にでてくる登場人物の種明かしをいていきましょう。
遠い国とは、あの世に行くことを意味しています。
なので、この男は死んだということになります。
肉体は死ともに灰になり、遠い国あの世までついてきてはくれません。
財産はこの世では、非常に魅力的なものですが、これもあの世までは一緒に持っていくことはできません。
生前は、仲良く暮らしていても、楽しく交流があっても、やはり見送ってくれるのは葬儀場や火葬場、墓場までとなります。
そして、妻ではあるももの、この男があまり大事にしなかった
仏教には、輪廻転生という概念があります。
魂は生まれ変わり死に代わりしていくうえで、魂だけはずっとあなたについて回ります。
そして、今生で起こした「善い行い」「悪い行い」ともどもに魂と一緒に付き従い、最終的に来世でまた形を変えて生まれ変わるのです。
たとえ肉体は滅んでも、魂は生き続けるのであるから、今生で一生懸命善い行い(※八正道)を積み、あの世で安心して暮らせるようにしなさい。
財産ばかりに、目をくらませてはいけませんよ!
という、仏様からの戒めを込めたお話でもあります。
・正見とは正しいものの見方で物事を見るという意味。
・正思惟とは正しい考え方を持つこと。
・正語とは正しい言葉遣いをすること。
・正業とは正しい行いをすること。
・正命とは正しい生活を送ること。
・正精進とは正しい道に向かって正しい努力をすること。
・正念とは正しい意思・信念を持つこと。
・正定とは、正しい瞑想、正しい禅定をすること。
世知辛い世の中ではありますが、最後までより善い人生を送っていきたいものですね!
最後までお読みいただき、有り難うございました。
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仏教マーケティング・アドバイザーのコージリです。