金子みすゞの詩の人気は仏教的慈悲の世界感にあった!

珠玉のエピソード

大正末期から昭和初期にかけて、童謡作家として活躍した「金子みすゞ」という女性をご存じでしょうか?!

戦後、埋もれていた数々の秀逸な作品が見直されて、一躍有名になった金子みすゞ。
実は彼女、26歳という若さではかなくも短い生涯を閉じた、悲劇の作家でもあるのですが…。

そこで今回は「金子みすゞと仏教」というテーマで、金子みすゞの魅力を綴ってみたいと思います。

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金子みすゞとは

金子みすゞは、山口県長門市に生まれました。前述のように、その生涯は短命で、26歳の若さで亡くなっています。死因はさんざん辛酸をなめさせられた放蕩夫への抵抗心からの服毒自殺といわれています。

あの巨匠、西條八十から「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛されたほどの金子みすゞですが、彼女の作品がクローズアップされたのは、没後50年以上たった1980年代になってからでした。

そして、彼女の地元長門市でも金子みすゞの功績を称える機運が高まり、生誕100年目にあたる2003年4月11日、彼女の生家跡に「金子みすゞ記念館」が開館されました。

金子みすゞの作品には、自然や生きとし生けるもの慈しむ思いや優しさがギュッと詰まってます。そして、いじめや虐待等の問題を抱える現代人にとって,考えさせられる教科者のような作品ばかりです。

代表作に「わたしと小鳥と鈴と」「こだまでしょうか」「大漁」などがあります。まずは。この詩をお読みください。

こだまでしょうか

「遊ぼう」っていうと 「遊ぼう」っていう。

「ばか」っていうと 「ばか」っていう。

「もう遊ばない」っていうと 「遊ばない」っていう。

そうして、あとで さみしくなって、

「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう。

こだまでしょうか、 いいえ、だれでも。

この詩は、CMにも使われています。特に最後の一節「いいえ誰でも…」がパロディとして流行ったこともあって、ご存じの人も多いのではないでしょうか?

金子みすゞと私

私が金子みすゞを知ったのは、成人してからずっと後のことでした。それは私の息子がまだ3歳くらいの頃で、妻の企画で行った山口県長門市への温泉旅行の時です。

沿道の休憩所に「童謡作家・金子みすゞ生誕の地」という看板があって、記念館の案内が書いてありました。そして「初めて聞く名前だけど、ついでに行ってみようか!」ということになりました。

実は当時、私は児童文学にではまっていて、童話作家になろうかな?いや、なれるんじゃないかな?と、作品を書いては前のめりなっていた時期でもあったのです。

いざ記念館に着き、実際にその彼女の作品を目の当たりにした瞬間の衝撃は、今でも忘れられません。彼女の生きた時代背景が、昭和初期とは思えないほど、詩の内容が今の時代にシンクロして、時空を超えた共感と感動で、思わず胸がいっぱいになりました…。

なぜなら当時の私は、耳に障害をもって生を受けた息子のことで、親としてどう対峙していくべきか、悶々していた時期でもあったからです。

そんな私が、「金子みすゞ記念館」で最初に目にした詩がこれです。

わたしと小鳥と鈴と

わたしが両手をひろげても、 お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥はわたしのように、 地面(じべた)をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、 きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴はわたしのように、 たくさんなうたは知らないよ。

鈴と、小鳥と、それからわたし、 みんなちがって、みんないい。

まさに共感、そして「絶句、トホ(杜甫)😢…」の瞬間でした…。

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金子みすゞと仏教

仏教を意識するようになった今、私が考えるのは、彼女には生きとし生きるものを慈しむ仏教の教えのような感性が根本的にあったんではないか…、ということです。それを強く感じた詩がこちらです。

大漁

朝焼け小焼だ、 大漁だ
大羽鰮(おおばいわし)の 大漁だ。

浜は祭りの ようだけど、

海のなかでは 何万の、
鰮(いわし)のとむらい するだろう。

この詩は、浜で大漁を喜んでいる人々とたくさんの仲間を失って悲しそうに泳いでいる海底の魚たちを対照的に描いた絵とともに、額縁に入れて掲げられていました。

現代の平和な時代とは対照的に、戦争と向かい合わせで暗く殺伐としたあの時代に、このような純粋な慈悲の心をもった詩人がいたんたなぁと、鳥肌が立ったのを今でも覚えています。

人間の営みとしての漁で、めでたいことである「大漁」という成果に対する喜び。一方では、人間の知らない海底で暮らす魚たちのたくさんの仲間を失ったことへの悲しみ…。

その陽と陰とのコントラストが見事に表現されていて、命の尊厳、生かされていることへの有り難さを考えさせてくれるテーマだと思いました。

こだまでしょうか?いいえ誰でも~

金子みすゞの作品は、どれをとっても相手のことを思いやる心の大切さを、教えてくれる詩が満載です。現代は平和なようでも、親が子を虐待したり、学校でのイジメが横行し、それに伴う子供の自殺が問題となっています。また、親が子を子が親を殺めてしまう、殺伐とした時代でもあります。。

金子みすゞの詩は、現代に生きる私たちに、感謝の心、思いやりの心、信じる心の大切さを思い出させてくる時空を超えた魂のメッセージだと感じているのは

私だけでしょうか?!

いいえ、だれでも~!

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